もう。そこらいっぱいこんなにひどく明るくて、ラジウムよりももっとはげしく、そしてやさしい光の波《なみ》が一生けん命一生けん命ふるえているのに、いったいどんなものがきたなくてどんなものがわるいのでしょうか。もうどんどん泡《あわ》があふれ出してもいいのです。青ぞらいっぱい鳴っているあのりんとした太陽《たいよう》マジックの歌をお聴《き》きなさい。
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(コロナは六十七万四千
 ※[#ト音記号、50−6]‥‥‥
 ※[#ト音記号、50−7]‥‥‥                    )
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 さあ、ではみんなでこいつを下台《しただい》の麦ばたけまで持《も》って行こう、こっちの崖《がけ》はあんまり急《きゅう》ですからやっぱり女学校の裏《うら》をまわって楊《やなぎ》の木のあるとこの坂《さか》をおりて行きましょう。大丈夫《だいじょうぶ》二十分かかりません。なるべくせいの似《に》たような人と、二人《ふたり》で一つずつかついで下さい。そうです、町の裏を通って行くのです。阿部君《あべくん》はいっしょに行くひとがない、それはぼくといっしょに行こう。ああ鳴っている、
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