て》です。ダイアモンドです。枝《えだ》がななめに交叉《こうさ》します。一中隊はありますよ。義勇《ぎゆう》中隊です。」
「やっぱりあんなでいいんですか。」
「構《かま》いませんよ。それよりまああの梨《なし》の木どもをご覧《らん》なさい。枝《えだ》が剪《き》られたばかりなので身体《からだ》が一向《いっこう》釣《つ》り合いません。まるで蛹《さなぎ》の踊《おど》りです。」
「蛹踊《さなぎおどり》とはそいつはあんまり可哀《かわい》そうです。すっかり悄気《しょげ》て化石《かせき》してしまったようじゃありませんか。」
「石になるとは。そいつはあんまりひどすぎる。おおい。梨の木。木のまんまでいいんだよ。けれども仲々《なかなか》人の命令《めいれい》をすなおに用いるやつらじゃないんです。」
「それより向《むこ》うのくだものの木の踊りの環《わ》をごらんなさい。まん中に居《い》てきゃんきゃん調子《ちょうし》をとるのがあれが桜桃《おうとう》の木ですか。」
「どれですか。あああれですか。いいえ、あいつは油桃《つばいもも》です。やっぱり巴丹杏《はたんきょう》やまるめろの歌は上手《じょうず》です。どうです。行って仲間
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