ように、やかましく鳴きながら、東の方へ飛《と》んで行きました。
めくらぶどうは高く叫《さけ》びました。
「虹《にじ》さん。私をつれて行ってください。どこへも行かないでください」
虹《にじ》はかすかにわらったようでしたが、もうよほどうすくなって、はっきりわかりませんでした。
そして、今はもう、すっかり消《き》えました。
空は銀色《ぎんいろ》の光を増《ま》し、あまり、もずがやかましいので、ひばりもしかたなく、その空へのぼって、少しばかり調子《ちょうし》はずれの歌をうたいました。
底本:「銀河鉄道の夜」角川文庫、角川書店
1969(昭和44)年7月20日改版初版発行
1993(平成5)年6月20日改版71版発行
※本作品中には、身体的・精神的資質、職業、地域、階層、民族などに関する不適切な表現が見られます。しかし、作品の時代背景と価値、加えて、作者の抱えた限界を読者自身が認識することの意義を考慮し、底本のままとしました。(青空文庫)
入力:薦田佳子
校正:平野彩子
2000年8月25日公開
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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