がなんだか、まるで蜂《はち》の巣をつゝついたやうで、わけがわからなくなりました。そこでやまねこが叫びました。
「やかましい。こゝをなんとこゝろえる。しづまれ、しづまれ。」
別当がむちをひゆうぱちつとならしましたのでどんぐりどもは、やつとしづまりました。やまねこは、ぴんとひげをひねつて言ひました。
「裁判ももうけふで三日目だぞ。いゝ加減に仲なほりしたらどうだ。」
すると、もうどんぐりどもが、くちぐちに云ひました。
「いえいえ、だめです。なんといつたつて、頭のとがつてゐるのがいちばんえらいのです。」
「いゝえ、ちがひます。まるいのがえらいのです。」
「さうでないよ。大きなことだよ。」がやがやがやがや、もうなにがなんだかわからなくなりました。山猫《やまねこ》が叫びました。
「だまれ、やかましい。こゝをなんと心得る。しづまれしづまれ。」
別当が、むちをひゆうぱちつと鳴らしました。山猫がひげをぴんとひねつて言ひました。
「裁判ももうけふで三日目だぞ。いゝ加減になかなほりをしたらどうだ。」
「いえ、いえ、だめです。あたまのとがつたものが……。」がやがやがやがや。
山ねこが叫びました。
「や
前へ
次へ
全15ページ中10ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング