置《お》いて、そらを見ながらすわっていた。
お前さん今からどこへ行く、どこから来たってきいたらば、子供はかあいい声で答えた。そこの笹田《ささだ》のうちにずいぶんながくいたけれど、もうあきたから他《ほか》へ行くよ。なぜあきたねってきいたらば、子供はだまってわらっていた。どこへ行くねってまたきいたらば、更木《さらき》の斎藤《さいとう》へ行くよと言った。岸についたら子供はもういず、おらは小屋《こや》の入口にこしかけていた。夢《ゆめ》だかなんだかわからない。けれどもきっと本当だ。それから笹田がおちぶれて、更木の斎藤では病気もすっかり直ったし、むすこも大学を終わったし、めきめき立派《りっぱ》になったから」
こんなのがざしき童子《ぼっこ》です。
底本:「セロ弾きのゴーシュ」角川文庫、角川書店
1957(昭和32)年11月15日初版発行
1967(昭和42)年4月5日10版発行
1993(平成5)年5月20日改版50版発行
初出:「月曜」
1926(大正15)年2月号
入力:土屋隆
校正:田中敬三
2008年3月25日作成
青空文庫作成ファイル:
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