さいかち淵《ぶち》
宮沢賢治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)さいかち淵《ぶち》
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)三十|疋《ぴき》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)しゅっこ[#「しゅっこ」に傍点]
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八月十三日
さいかち淵《ぶち》なら、ほんたうにおもしろい。
しゅっこ[#「しゅっこ」に傍点]だって毎日行く。しゅっこは、舜一《しゅんいち》なんだけれども、みんなはいつでもしゅっこ[#「しゅっこ」に傍点]といふ。さういはれても、しゅっこは少しも怒らない。だからみんなは、いつでもしゅっこしゅっこ[#「しゅっこしゅっこ」に傍点]といふ。ぼくは、しゅっことは、いちばん仲がいい。けふもいっしょに、出かけて行った。
ぼくらが、さいかち淵で泳いでゐると、発破《はっぱ》をかけに、大人も来るからおもしろい。今日のひるまもやって来た。
石神《いしがみ》の庄助《しゃうすけ》がさきに立って、そのあとから、煉瓦場《れんぐわば》の人たちが三人ばかり、肌ぬぎになったり、網を持ったりして、河原のねむの木
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