るする出てきて、柏の木の頭の上や手の上、肩《かた》やむねにいちめんにとまりました。
 立派な金モールをつけたふくろうの大将が、上手に音もたてないで飛んできて、柏の木大王の前に出ました。そのまっ赤な眼《め》のくまが、じつに奇体《きたい》に見えました。よほど年老《としよ》りらしいのでした。
「今晩は、大王どの、また高貴の客人がた、今晩はちょうどわれわれの方でも、飛び方と握《つか》み裂《さ》き術との大試験であったのじゃが、ただいまやっと終わりましたじゃ。
 ついてはこれから連合《れんごう》で、大乱舞会《だいらんぶかい》をはじめてはどうじゃろう。あまりにもたえなるうたのしらべが、われらのまどいのなかにまで響《ひび》いて来たによって、このようにまかり出ましたのじゃ。」
「たえなるうたのしらべだと、畜生《ちくしょう》。」清作が叫《さけ》びました。
 柏の木大王がきこえないふりをして大きくうなずきました。
「よろしゅうござる。しごく結構でござろう。いざ、早速とりはじめるといたそうか。」
「されば、」梟《ふくろう》の大将はみんなの方に向いてまるで黒砂糖のような甘《あま》ったるい声でうたいました。
「か
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