七《しち》とうしやう、なまりのメタル。」
「わたしがあとをつけます。」さつきの木のとなりからすぐまた一本の柏の木がとびだしました。
「よろしい、はじめ。」
かしはの木はちらつと清作の方を見て、ちよつとばかにするやうにわらひましたが、すぐまじめになつてうたひました。
「清作は、葡萄《ぶだう》をみんなしぼりあげ
砂糖を入れて
瓶《びん》にたくさんつめこんだ。
おい、だれかあとをつゞけてくれ。」
「ホツホウ、ホツホウ、ホツホウ、」柏《かしは》の木どもは風のやうな変な声をだして清作をひやかしました。
清作はもうとびだしてみんなかたつぱしからぶんなぐつてやりたくてむずむずしましたが、画《ゑ》かきがちやんと前に立ちふさがつてゐますので、どうしても出られませんでした。
「第八等、ぶりきのメタル。」
「わたしがつぎをやります。」さつきのとなりから、また一本の柏の木がとびだしました。
「よし、はじめつ。」
「清作が 納屋にしまつた葡萄酒《ぶだうしゆ》は
順序たゞしく
みんなはじけてなくなつた。」
「わつはつはつは、わつはつはつは、ホツホウ、ホツホウ、ホツホウ。がやがやがや……。」
「やか
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