うまいねえ、わあわあ。」
「第|四《し》とうしやう、ニツケルメタル。」
「ぼくのはさるのこしかけです。」
「よし、はじめ。」
柏の木は手を腰にあてました。
「こざる、こざる、
おまへのこしかけぬれてるぞ、
霧、ぽつしやん ぽつしやん ぽつしやん、
おまへのこしかけくされるぞ。」
「いゝテノールだねえ、いゝテノールだねえ、うまいねえ、うまいねえ、わあわあ。」
「第五とうしやう、とたんのメタル。」
「わたしのはしやつぽのうたです。」それはあの入口から三ばん目の木でした。
「よろしい。はじめ。」
「うこんしやつぽのカンカラカンのカアン
あかいしやつぽのカンカラカンのカアン。」
「うまいうまい。すてきだ。わあわあ。」
「第六とうしやう、にせがねメタル。」
このときまで、しかたなくおとなしくきいてゐた清作が、いきなり叫びだしました。
「なんだ、この歌にせものだぞ。さつきひとのうたつたのまねしたんだぞ。」
「だまれ、無礼もの、その方などの口を出すところでない。」柏《かしは》の木大王がぶりぶりしてどなりました。
「なんだと、にせものだからにせものと云つたんだ。生意気いふと、あした斧《をの
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