[#「掬」に「ママ」の注記]の森や、風や影、肉之[#「肉之」に「ママ」の注記]草や、不思議な都会、ベーリング市迄続々[#「々」に「ママ」の注記]電柱の列、それはまことにあやしくも楽しい国土である。この童話集の一列は実に作者の心象スケツチ[#「この童話集の一列は実に作者の心象スケツチ」に白丸傍点]の一部である。それは少年少女期の終り頃から、アドレツセンス中葉に対する一つの文学としての形式をとつてゐる。
この見地からその特色を数へるならば次の諸点に帰する[#「この見地からその特色を数へるならば次の諸点に帰する」に白丸傍点]。
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一[#「一」は「□」囲み]これは正しいものゝ種子を有し、その美しい発芽を待つものである。而も決して既成の疲れた宗教や、道徳の残澤[#「澤」に「ママ」の注記]を色あせた仮面によつて純真な心意の所有者たちに欺き与へんとするものではない。
二[#「二」は「□」囲み]これらは新しい、よりよい世界の構成材料を提供しや[#「や」に「ママ」の注記]うとはする。けれどもそれは全く、作者に未知な絶えざる警[#「警」に「ママ」の注記]異に値する
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