さは日に燃え
電信ばしらはやさしく白い碍子をつらね
ベーリング市までつづくとおもはれる
すみわたる海蒼《かいさう》の天と
きよめられるひとのねがひ
からまつはふたたびわかやいで萌え
幻聴の透明なひばり
七時雨《ななしぐれ》の青い起伏は
また心象のなかにも起伏し
ひとむらのやなぎ木立は
ボルガのきしのそのやなぎ
天椀《てんわん》の孔雀石にひそまり
薬師岱赭《やくしたいしや》のきびしくするどいもりあがり
火口の雪は皺ごと刻み
くらかけのびんかんな稜《かど》は
青ぞらに星雲をあげる
(おい かしは
てめいのあだなを
やまのたばこの木つていふつてのはほんたうか)
こんなあかるい穹窿《きゆうりゆう》と草を
はんにちゆつくりあるくことは
いつたいなんといふおんけいだらう
わたくしはそれをはりつけとでもとりかへる
こひびととひとめみることでさへさうでないか
(おい やまのたばこの木
あんまりへんなをどりをやると
未来派だつていはれるぜ)
わたくしは森やのはらのこひびと
蘆《よし》のあひだをがさがさ行けば
つつましく折られたみどりいろの通信は
いつかぽけつと
前へ
次へ
全112ページ中108ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング