立つて火吹竹でどやしつけたら、死んでしまつたから、裏の掃溜《はきだめ》に棄てゝしまつた。」
「おや/\ひどいことをしますね。そんな筈《はず》はありませんが、お前さん、私《わたし》の言つたとほり五合の小豆を煮て喰べさせましたか?」
「そりや小豆を煮て喰はしたさ。けれども二三日借りたきりのものだから、そのうちにウンと黄金《きん》を取つてやれと思つて、一升喰はしたんだ。そしたら一升だけ糞《うんこ》をたれて、本当にひどい目にあはされた。」
「あゝそれぢやあいけない、五合以上喰べさしちやならないのだ。犬は可哀さうなことをした。どれ、では死骸《しがい》でも葬つてやりませう。」
そこで正助爺さんは掃溜の中から犬の死骸を拾つて、綺麗《きれい》に洗ひ浄《きよ》め、それを土竈《どがま》のさきへ埋めました。すると直ぐそこから榎《えのき》が芽を出して、正月の十七日にはその枝に沢山の大判小判の金貨がなりました。正月にかざる繭玉の由来はこれだと申します。
底本:「日本児童文学大系 第一一巻」ほるぷ出版
1978(昭和53)年11月30日初刷発行
底本の親本:「竜宮の犬」赤い鳥社
1923(大正
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