やんに渡しました。そして裸になつたまゝ、吉ちやんの着物なんか着ないで、そのまゝよた/\といつてしまひました。
「まあをかしな人形だ。寒くはないかしら。」
「いゝえ。」
と、傍《そば》から竜の豆自動車が口を出しました。
「この国ぢや、寒いことも、暑いこともないのです。尤《もつと》もあなたのやうな外国人は別ですがね。外国人だとそんなこともあります。けれどもさうなると、直ぐその国へ追ひ出されて、もう一度オレ・リユク・ウイのおぢいさんが、迎ひに来ないうちは二度とこゝへ来られません。さあ、そんなことはどうでもいゝです。早くお乗りなさい。三番目の鳥居に行きませう。」
三番目の鳥居は木のぼろ/\にくさつた小さな鳥居でした。吉ちやんはがつかりしました。
「なんだ、こんな汚ない、ちいぽけな鳥居か。おまけにお土産になるやうな良《い》いものは、一つもないぢやないか。」
「だから私《わたし》が言つたでせう。」
と、竜の豆自動車は申しました。
「あのおぢいさんの言ふことなんか、当てになりやしませんよ……私《わたし》を拾つたからこそいゝのです。でなかつたら、お土産なんかありやしません。」
「本当だね、ぢや帰らう
前へ
次へ
全16ページ中8ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮原 晃一郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング