は何でもかんでも、みんな私《わたし》がしたと思つてゐます。それは私も知つてゐます。」と、大女が言ひました。「魔法つかひの爺さんは古い洗濯《せんたく》だらひと六粒のお豆とを、火の竜にひかせた車にすることができるのです。それにのつて出かけるときには大きなマントを着て、高い帽子をかぶりますから、だれでも私だと思ひますわ。そしてね、自分のするいろんな悪いことを子供たちに手伝はせて、私みたいに、いつもとりこ[#「とりこ」に傍点]にして置きます。おまけに私たちには、ろくすつぽ御飯も喰《た》べさせないから、早く助けて貰はなけりや、私たち死んぢまひますわ。」
 大女は目からボロ/\と涙を流しました。それは一粒で一つの池ができるやうな大粒の涙でした。
「泣いちやいけません。」と、虹猫は言ひました。「いまにみんなよくなります。僕《ぼく》の法術は爺さんの魔法よりも強いのですからね。一度あいつに出あつたらすぐあいつを片づけてしまひます。僕をあいつのところへつれて行つてくれませんか。」
 けれども大女は恐がつて、とてもそんなことをする勇気がないのでした。
「そればかりでなく、なか/\あなたを家《うち》の中に入れ
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