が》めなけれはならないのだけれど、お前さんの勉強なのに感心して、黙つてゐるのだよ。」
豆小僧は変な婆さんだと思つて黙つてゐました。なにしろ、真白《まつしろ》で、銀のやうに光る髪をもつて、するどい眼附《めつき》をしてゐる婆さんなので、豆小僧は気味が悪くなつて、仕方がなかつたのです。
けれども、婆さんは案外深切さうで、にこ/\笑ひながら、
「お前さん余り働いたから、少し休んでおいでよ、わたしが刈つてあげるから。」と、言つて、豆小僧の手から鎌《かま》を取つて、さつさと柴を刈つて束ねてくれました。
「さあ、これをもつておいで、なにをそんなに変な目つきをするのよ。決して重くはないよ。」
婆さんは、豆小僧が二日もかゝつて刈り集めるだけの柴を背中にのせてくれました。けれども、不思議なことには、それほど重たくないのでした。
「だがね、豆小僧さん、」と、婆さんは別れるとき念を押して言ひました。「わたしがお前さんに柴を刈つてあげたことを誰《だれ》にもしらしてはならないよ。若《も》しお前が余計なお喋《しやべ》りをしたら、ひどい目にあふからそのつもりでゐなさい。」
婆さんはきつと豆小僧を睨《にら》みま
前へ
次へ
全10ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮原 晃一郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング