蛇いちご
宮原晃一郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)蛇《へび》いちごが
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一度|神職《かんぬし》をよんで
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)うろ/\と
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林の中に行つてみると、紅のいろをした美しい蛇《へび》いちごが生《な》つてをります。
「蛇いちごを食べてはいけないよ。あれは毒ですからね。あれを食べると、体は溶けて水になつてしまひますよ。」
お母さん達《たち》はかう子供に教へます。恐しい毒な蛇いちご、みかけは大変美しくて、人の体をとかしてしまふ蛇いちご。本当にさうなんでせうか? 私《わたし》は知りません。けれどもこんな話がつたはつてをるのです。
日本のずうつと西の端《はて》の或国《あるくに》では、氏神といつて、どこの家《うち》でも、先祖代々自分だけの神様を祀《まつ》つてをります。その祭礼は十一月で、一年に一度|神職《かんぬし》をよんで、神棚《かみだな》に七五三《しめ》繩を張り、御《お》燈明をつけて、祝詞《のりと》をあげて貰《もら》ひます。そして親類の
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