ッキと折れて、メリ/\と仆れかけました。しかし、さすがは、キクッタです、その拍子にすばやく、ヒョイとそばの、べつな木にとび移りました。
が、運の悪いときは仕方のないもので、その手のかゝつた枝が枯れてゐたとみえ、ポッキリと音がして、キクッタはずる/\、ズドンと地に落ちました。それと殆《ほと》んど同時に、銃声がひゞいたやうでしたが、すぐ気絶したのであとは分りません。
気がついてみると、自分のそばに、チャラピタが立つてゐました。折りよく、来合はせたチャラピタは、大熊の頭に一発、弾丸《たま》を打ち込んで、キクッタを救つたのでした。
三
キクッタは折角、自分が見付けた熊《くま》をチャラピタの為《ため》に打取られ、おまけに生命《いのち》までも救つてもらつたことになつたので、口惜《くやし》くてたまりません。これからは何んとかして、大きな熊をたくさんとつて、あはよくば、チャラピタの生命《いのち》を救つてやらなければ、一つでも年上の自分の面目が立たないと、せつせと熊をさがして歩きました。
けれども、もう銃はないので、その代りに弓矢をもつて出ました。矢の根には、トリカブトといふ草の根
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