悪魔の尾
宮原晃一郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)その頃《ころ》は
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|疋《ぴき》の
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)とう/\
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それはずつと大昔のことでした。その頃《ころ》は地球が出来てからまだ新しいので、人間はもちろんのこと、鳥や獣すら住まつてゐませんでした。住まつてゐるものはたゞ悪魔ばかりであつたのです。
悪魔たちはみんな恐ろしく長い尾をもつてをりましたので、それを人間で言へば槍《やり》や刀の代りに使つて、のべつ幕なしに喧嘩《けんくわ》をしたり、戦争をしたり、始末におへないので、世界中は治まりがつきませんでした。
こんな悪い悪魔たちでも、やはり仲間とは一緒に住みたいと見えて、とある山の中ほどに大きな湖水のある、見晴らしのよい場所を見付けて、市街をつくつてゐました。
けれどもこの湖からは、一筋の大きな河が流れて丁度《ちやうど》悪魔の市《まち》の真ん中をとほるものですから、いつかしら悪魔たちは右の岸、左の岸と二派に分れましたので、とう/\喧嘩
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