やから》ヘイムダールの御子達
戰ひに仆れしますらをの父よ!(註、主神オージン[#「オージン」は底本では「オージシ」])
汝は遠き昔の人々につきて
わが憶えをる昔語り
語り聞かせよと、われに求む。
われは猶、古への巨人《おほぴと》をおぼゆ
過ぎにし日、われに糧《かて》を與へにし……
二、九つの世をもわれは知れり
土の下に大いなる根を張りし
大いなる木の上にありしてふ(註、イグドラシルといふとねりこの木)
九つの世界をも。
三、その昔、ユミールに住みし世は
海も、冷たき浪も、砂もなく
大地も未だなく
その上に蒼穹《おほぞら》もおほはざりき。
只果てしなき深き淵の
口あけてゐたるのみ。
草一つだになかりき。
四、さるをブゥルのみ子たち
平らなる地をもたげ
そこに中つ國を建てぬ(註、中つ國の名はミズガルド)
日は南より岩をあたゝめ
地は韮《にら》をもて青みたりき。
月の姉なる日は南より
その右の手を天のはじにかけぬ、
何處をわが家と知らざりければ……
日もまた居るべきところを知らず
星も定まる宿を知
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