lexander Kieland と、ヨナス・リエ Jonas Lie とがあります。イプセンとビョルンソンについては、餘りによく知られてをるので、此處に省略して何にも申しません。只、一言、申したいことは、故郷には貴ばれぬ豫言者でありながら、なほ自國の傳統に深い執着をもつたイプセンと、農民文學の新らしい型を出したビョルンソンとは、今日、我々の再檢討を要する、何物かをもつてはゐないだらうかといふことです。ビェランはその文體の明快と情調の輕さで日本人にも好かれてゐますが、リエは殆んど知られてをりません。北歐らしく憂鬱な情調が好かれぬのかも知れません。二人とも自然主義系統の作家で、社會の暗黒面を容赦なくあばいてゐるところは同じでありますが、到底フランス人のやうに冷血な經驗の分析者であり、絶望的運命觀の上に立つことは出來なかつた處にスカンヂナヴィア人の生地があらはれてゐます。
この外、コレット Collet、ヴィニェ Vinje、ガルボル Galborg、エルステル Erster、スクラム Skram 等此の時代に著名な作家が輩出してをりますが、此處には割愛しておきます。
一口に言ふと、こ
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