ます。
       十一、中世以後の文學
 以上お話致しましたイスランド・ノルウェイ文學の榮えた後、イスランドは衰微しましたのが、十六世紀の半ばからやうやく復活して、十八世紀になつて、やつとローマン主義の文學が再び興つて來ました。けれども、『エッダ』や『スカルド』や『サーガ』に比すべきほどの力はありません。最近、グンナァル・グンナルソン Gunnar Gunnarsson といふ作家が國境を越えて名聲をはせてゐますが、これはデンマルク語を用ひてをりますから、或はデンマルク作家にかぞへて然るべきかも知れません。
 要するに古代イスランドの文學を受けついだのは、イスランド自身よりもデンマルク、ノルウェイ、スウェデンの三國でありました。然し宗教改革に至るまでのスカンヂナヴィアの中世文學は大體に於て隆盛ではなかつたといふことが出來ませう。スカルドやサーガの盛時を過ぎると、ラテンやフランスの古典の飜譯時代が來ました。キリスト教の普及に伴つて渡來したラテン語が尊重されて、學問は僧侶の手に歸し、文學もまた僧侶や貴族の支配するところとなりました。しかし、一方には國語の統一といふことが行はれ、國語で著
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