作された文學も僅かながら出るやうになりました。この國語を整理改造して、文學用語にまで高めた功績はスウェデンではオーヴラス・ペトリス、デンマルクではクリスチャン・ペテルセンであります。
       十二、用語の問題
 私はここで、ちよつと、スカンヂナヴィア文學の用語について、おことわりして置かなければなりません。前に、スカンヂナヴィア文學が、基礎として立つ言葉は同じであるやうに申しましたが、これは大體のことで、元より同一國語を使用してをるのではありません。然しデンマルクとノルウェイとは同じ言葉を、違つた發音と、違つたアクセントで話し、幾分違つた綴方や、表現や、單語で文章を書いてをります。これは元ノルウェイが政治的にも、文化的にもデンマルクの支配を受け、その爲に、都會ではデンマルク語が通用して、古來のノルウェイ語は只方言として農民の間に殘つてゐたが故であります。このノルウェイ化したデンマルク語をノルウェイ人はリクスモール Riksmaal 國の言葉、または公用語といひ、これに對して、古代ノルウェイ語や、その面影をとめてゐる、ノルウェイ農民の言葉を整理再建した新ノルウェイ語、ニューノルスク
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