じ古代北歐語でも表現の仕方がエッダとちがひ、廻りつくどいので、不馴れの者にはよみづらいのです。たとへば舟のことを舟といはずに、波の馬といひ、白い浪頭を「波の牡山羊」といふたぐひです。これはケニンガアル kenningar といふ一種の隱喩でありますが、別にヘィティ Heiti といふのは全く違つた名をいふので、言はば符牒であります。たとへば、女といふ言葉を普通にコーネと言はないで、フリョード Flyod、またはスプルンド Sprund といふやうな類であります。これが解釋は後世の人に不可能でありますが、幸にも新らしい『エッダ』のスカルドスカパルマール Skaldskaparmal 即ち、スカルド作詩法にのつてゐるので分るのであります。
スカルド詩人のうち、最も古いとせられてゐるのはウルフ Ulf でありますが、頗る達者な作家で一夜に一長篇をこしらへたといひます。そのほかスカルド詩人の中では、聖地で人殺しをしながら、詩の功徳で危い生命を取り止めたエルプル Erpr や、非常に數奇な生活を送つたエギル・スカラグリムソン Eegil Skallagrimsson などといふ人達もあり、エピ
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