やうなもので、舊い『エッダ』とは別な意味で面白いものでありますが、文學的にはそれほどのものとは思はれませんから、此處では略することに致します。『エッダ』はこれだけにして、次にはスカルドのことに移ります。
       八、スカルド歌謠
 スカルドとは元來詩人の意味でありますが、此處ではスカルドによつて作られた歌であります。この歌は只文字に書いて、默讀したのではなく、日本の平家物語のやうに節を附けて、歌はれたものであります。
 スカルドはその祖先をオージンの大神にもつてゐると申しますが、その守護神はブラギ Bragi であります。つまりブラギはギリシヤ、ローマのミューズの神、日本で言へば和歌三神に當るわけであります。スカルド詩人は大部分は朝廷に仕へたもので、常に君側にあつてその武徳をうたひ、或は戰場の有樣を描き、自らも軍に從つて、辛苦をなめたものであります。スカルドは斯うしていつも作者の主人の賞讃をうたつてばかりゐるところに、エッダとの相違があります。スカルドの形式はエッダと同樣でありますが、只エッダよりもずつと嚴密で、更にいろいろの法則が附加されてゐるだけであります。のみならず用語は同
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