泰西的にして東洋的にあらず[#「是の如き深刻なる戀愛は泰西的にして東洋的にあらず」に白丸傍点]。恐らくは翻案乎[#「恐らくは翻案乎」に白丸傍点]。
よし翻案なりとするも、文章簡錬敍事勁拔、之を先進作家の一二に見るに、多く讓る色あるを見ず。頗ぶる他が心状を描さんことを勉めたり。
渠は
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醫學士はと[#「醫學士はと」に傍点]、不圖見れば[#「不圖見れば」に傍点]、渠は露ほどの感情をも動かし居らざるものゝ如く[#「渠は露ほどの感情をも動かし居らざるものゝ如く」に傍点]、虚心に平然たる状露はれて[#「虚心に平然たる状露はれて」に傍点]、椅子に坐りたるは室内に唯渠のみなり[#「椅子に坐りたるは室内に唯渠のみなり」に傍点]。其太く落着きたる[#「其太く落着きたる」に傍点]、これを頼母しと謂はゞ謂へ[#「これを頼母しと謂はゞ謂へ」に傍点]、伯爵夫人の爾き容態を見たる予が眼よりは寧ろ心憎きばかりなりしなり[#「伯爵夫人の爾き容態を見たる予が眼よりは寧ろ心憎きばかりなりしなり」に傍点]。
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是れ高峰が情人の手術に就て勉《つと》めて冷淡を裝はふの状、
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