買ひものをする女
三宅やす子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)一寸《ちよつと》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一人一人|膳部《ぜんぶ》が

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ピカ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 買ひものといふ事は、女性とは大変に密接な関係があるやうである。買ひものをする女の心持や態度は、千種万様である。
 娘の頃は学用品や身の廻りの一寸《ちよつと》した買物、女学校でも卒業すると、反物の選び方に腐心するやうになるが、家庭にはいつて、買物の範囲はグツとひろめられて来る。
 新家庭時代、少くともそれから暫《しばら》くの間は八百屋、魚屋、それから醤油はどれがよいとか、紙は何が徳用だとか云ふやうなこま/″\した買物に興味を持つ時代もあるが、次第にこれが日常の常習になつてしまふと、定《きま》りきつた面倒なものとなつてしまふ。
 それよりも、日常の生活の必需品でないもの、生活品の中でも、菓子、果物というやうになれば、そこに選択の余地があつて少し許りの興味はひく。けれど、女
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