せんか。ものもよく出来ますか。
乙「エエ今年お十四におなりあそばしたのですが。お年ににあわずなんでもよくお出来になります。
篠「あのあなたは御平生《ごふだん》もお洋服ですか。
乙「いいえ。ぜんたいふだんにきませんでは。軽便なこともわかりませんに。よそへ行く時にばかりだれもきますようになっておりますから。ただ華奢《かしゃ》にばかりながれて。田中屋の白木屋のと服の競争をするようなもので。わたくしもどうかきるならば。平生にきたいと存じますけれど。塾《じゅく》も日本造りでござりますから。思うように参りません」と咄《はな》しをしているうち。一曲の踏舞は終り。斎藤は宮崎とともにいできたり。
斎「じゃア浜子さん願いましょう」とかのいぼじり巻きの貴嬢を連れて行く。
宮「オヤ。ミス服部《はっとり》しばらくでした。
服「宮崎さんどう遊ばしました。
宮「少し不快で。毎度妹がお世話になります。あなたが朝夕おせわくださるので。このごろでは日曜も帰りたくないと申しています。
服「なに少しも行き届きません」と咄《はなし》の内はやまた曲のはじまりたれば。
宮「では久しぶりに願いましょうか。
服「どうか」とこれより立食
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