あたし達の眼を返しておくれ!』
『彼等が君に、飛行靴《とびぐつ》と魔法の袋と隠兜《かくれかぶと》とを持っている水精《ニンフ》達の居る所を教えてくれたら、すぐにも眼を返してやろうと彼等に言い給え、』と、クイックシルヴァはパーシウスに耳打しました。
『親切な、立派なおばあさん方、』とパーシウスは白髪婆さん達に向って言いました、『何もそんなにびっくりなさることはありません。僕は決して悪い男じゃないんです。あなた方が僕にニンフ達の居処を教えて下されば、すぐにあなた方の眼を、そっくりそのまま、もと通りよく光っているのをお返しします。』
『ニンフ達だって! これはまあ! 姉妹達、この人はどんなニンフのことを言ってるんだろうねえ?』とスケヤクロウは叫びました。『何でもいろんなニンフがいるそうだよ。森で猟をしているのもあれば、樹の中に棲んでいるのもあり、また泉の中で楽しく暮らしているのもあるそうだ。あたし達はニンフ達のことはちっとも知らない。あたし達は三人の不仕合せな婆さん共で、うす暗がりの中をうろつき廻っていて、仲間に眼が一つしかない。それをお前さんが盗んでしまいなすった。おう、何処の人だか知らない
前へ 次へ
全307ページ中43ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三宅 幾三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング