言《ひとこと》も口をきかないで、実に無邪気な本気さで、泉の中を見下したり空を見上げたりしているので、ビレラフォンも元気が出て来るのを感じないわけに行きませんでした。
 さて君達は、どうしてビレラフォンが翼のある馬をつかまえようとしたか、そのわけが聞きたいというでしょう。そして、そのことについて話をするのに、彼がペガッサスの現れるのを待っている間ほど、いい機会はありますまい。
 もしも僕がビレラフォンの今までの冒険をすっかりお話ししていたら、それだけで結構長い長い話になってしまうでしょう。だから、ただ、アジアの或る国に、カイミアラというおそろしい怪物が現れて、今から日が暮れるまでの間にはとても話し切れないほどの害をしていたというだけで沢山でしょう。僕が読んだうちでも一番いい本によると、このカイミアラというのは、今までに土からうまれた生き物の中でも、断然とまでは行かなくとも、おおよそ一番みにくい、有毒な動物で、また最も奇妙不可思議で、相手に廻してこれほど厄介なものはなく、逃げようにもなかなか逃げられない代物《しろもの》でした。それは尻尾がうわばみみたいで、胴体は何に似ているといっていいか分
前へ 次へ
全307ページ中267ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三宅 幾三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング