て、いつも休んでは、不思議の壺から、堪能《たんのう》するほど牛乳を飲みました。
 そして僕は、われわれみんなのために、その壺が、今、ここにあったら、どんなにいいだろうと思います!
[#改ページ]

     丘の中腹
       ――話のあとで――

『その壺は、どれくらいはいったの?』とスウィート・ファーンは尋ねた。
『一リットルくらいしか、はいらなかったさ、』学生は答えた、『しかし、その中からどんどん牛乳をあけて、大樽一杯にしようと思えば、出来たんだよ。本当に、それはいくらでも湧いて来て、真夏になっても、からからになるようなことはなかったのさ、――この丘の中腹をささやき流れる、向うの小さな谷川でもそうは行かないかも知れないね。』
『そして、その壺は、今はどうなってるの?』小さな男の子は尋ねた。
『惜しいことには、それは二万五千年ばかり前に、こわれてしまったの、』従兄ユースタスは答えた。『それをみんなが出来るだけうまく修繕したんだけどね、牛乳はどうにか入れておくことは出来ても、もうそれからというものは、ひとりでに一杯になるということは決してなくなってしまったの。だからね、ひびのはい
前へ 次へ
全307ページ中250ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三宅 幾三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング