返答をした。
『ユースタスにいさん、』スウィート・ファーンが言った、『その時からこの世界に来たいやなものは、みんなその箱にはいっていたんですか?』
『何から何まではいっていたのさ!』ユースタスは答えた。『僕のスケート遊びを出来なくしてしまったこの吹雪も、やっぱりその中につめ込まれていたんだ。』
『そして、その箱はどれくらいの大きさだったんですか?』スウィート・ファーンは訊いた。
『そうさ、長さは三フィートもあったかなあ、』ユースタスは言った、『幅は二フィート、高さは二フィート半といったところだね。』
『ああ!』とスウィート・ファーンは言った、『僕をからかってるんだね、ユースタスにいさん! 僕はそんな大きな箱に一杯になるほども、いやなことが世界にありはしないってことは分ってるよ。それに、吹雪なんて、ちっともいやなことじゃなくって、面白いことだい。だから、その箱にはいっている筈はないやい。』
『まあ、あの児のいうことったら!』プリムロウズは姉さんぶって叫んだ。『世の中の苦労なんて、てんで知らないんですものねえ! 可哀そうに! あの子もあたしほど世間を見て来たら、も少しかしこくなるでしょう。』
そう言って、彼女は縄跳びをはじめた。
そのうちに日が暮れかかって来た。戸外の風景はたしかに淋しかった。濃くなってゆく夕闇の中を、遠く広く、灰色に雪がふりつもっていた。中空と同じように、地上には道も何も見えなかった。玄関の階段に高くつもった雪で、幾時間もの間誰も出入りした者がないことが知られた。もしも子供がただ一人でタングルウッドの窓際に立って、この冬景色に見入っていたとしたら、おそらく悲しくなったであろう。しかし、子供が五六人も集まると、たとえ世界をすっかり楽園に変えてしまうことは出来ないまでも、老耄《おいぼれ》の冬でも、毎日のように吹く風でも来い、へこたれはしないぞというくらいな元気は出るものだ。その上、ユースタス・ブライトが、即席に、いくつかの新しい遊び方を考え出したので、彼等はそれをやって、寝る時まで大陽気《おおようき》で騒ぎつづけたが、その新しい遊び方はまた、次の荒天の日にも役に立った。
[#改丁]
タングルウッドのいろりばた
――「三つの金のりんご」の話の前に――
吹雪《ふぶき》はあくる日もつづいた。しかし、その後、それがどうなったものやら、私にはちょっと見当がつかない。とにかく、それは夜の間に、からりと晴れあがってしまった。次の朝、さしのぼった太陽が、あかあかと照らし出したこのバークシアの丘陵地帯は、世界のどこをさがしても、またとはあるまいと思われるほど荒涼としていた。霜が窓ガラス一面に紋様をえがいて、そとの景色はほとんどちらりとも見えなかった。しかし、タングルウッドの子供達は、朝飯を待ちながら、指の爪でのぞき孔をこしらえて――崖になった丘の腹が一ところ二ところむき出しになっているのと、黒い松林とまざり合って、雪が灰色がかって見えているのとをのけては――山も野も一面に白い布をのべたようになっているのを見て大よろこびだった。なんというこころよさであろう! そして、なおさらいいことには、鼻がちぎれてしまうかと思われるほど寒かった! もしも人達がそれに堪えるだけの活気さえあれば、輝かしい、はげしい霜ほど、元気をふるいおこさせ、且つ、全身の血を、山の斜面をながれおちる渓流のように敏活に、波立たせ、躍らせるものはまたとあるまい。
朝飯がすむとすぐに、みんなそろって、毛皮や外套をうんと着込んで、雪の中へめちゃくちゃに飛び込んで行った。これはまた、寒中あそびには、なんというおあつらえむきの日であったろう! 彼等は、幾度も幾度も、丘の上から谷にむけて、どこまで飛んで行ってしまうか分らないほど滑った。その上更に愉快だったことには、底まで無事に着く度に、橇《そり》をひっくりかえして、真逆様にころがった。そして、一ぺん、ユースタス・ブライトは、途中何事もないようにというので、ペリウィンクル、スウィート・ファーン、スクォッシュ・ブロッサムなどを一しょに乗せてやって、全速力で降りて行った。ところが、これはまたどうしたことか、半分どころで、橇がかくれた切株にぶっ突かって、乗っていた四人全部が折重なって投げ出された。そして、起上って見ると、小さなスクォッシュ・ブロッサムが一人見えない! おやおや、あの子は一体どうなってしまったんだろう? ところが、みんなが驚いてあたりを見廻していると、高くつもった雪の中から、スクォッシュ・ブロッサムが、今まで見たこともないような赤い顔をして、ひょっこり立上った。それがまた、大きな真赤な花が、この冬の最中に、急にのびて来て咲き出したかのように見えた。この時みんなはどっと笑い出した。
彼等が丘
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