位でした。そしてクイックシルヴァの方は、彼の鋭い、敏《さと》い、冗談好きの頭のよさで以て、彼等の心にちょっとでも浮かぶ考えはどんな小さなものでも、本人達の気のつかないうちに見抜いてしまうらしいのでした。彼等も流石に時々は、クイックシルヴァがこんなにさとりが早くなくて、それに巻きついた蛇が始終身をよじっているあの不思議にいたずら好きな杖も打ちゃってしまえばいいのにと思いました。かと思うと、彼等はまた、クイックシルヴァがあまり愛想がいいので、杖も蛇も一しょでいいから、彼を毎日朝から晩まで喜んで家にひきとめておきたいような気もしました。
『ああ! ほんとになあ!』家を出て少し歩いてから、フィリーモンは叫びました。『旅の人に親切をつくすことがどんなにありがたいことかということが、あの村の者に分りさえしたら、彼等とても犬をみんなつないでしまって、これからは子供に石を投げさせるようなことはしないだろうに。』
『あんなことをするなんて、罪な、恥ずかしいことだ、――ほんとにそうだ!』年取ったボーシスは激しく言いました。『そしてわたしは今日にも出かけて行って、村の或る人達をつかまえて、彼等がどんなにいけない人間かということを言ってやるつもりです!』
『行ってみたところで誰も家にいないかも知れませんよ、』とクイックシルヴァは、ずるそうに笑いながら言いました。
 ちょうどその時、年上の方の旅人の顔が、おだやかでいながらも、たいへん真面目な、きびしい、おそろしいばかりの威厳を帯びて来たので、ボーシスもフィリーモンも一言だって口をきく勇気がなくなってしまいました。彼等はまるで空を見上げるように、おそるおそる彼の顔を見つめました。
『どんな見すぼらしい初対面の人にでも、同胞《はらから》のような気持を感じない人間は、この世に生きている値打がない。この世界は、人類という大きな同胞の住むべきところとしてつくられたのだから、』とその旅人は、オルガンのような深い響きを持った声で言いました。
『それはそうと、おじいさんとおばあさん、』クイックシルヴァは冗談といたずら気分たっぷりという目つきで叫びました、『あなた方のお話の、その村ってのは、どこでしたっけ? どっちの方にあるんですかね? 一向その辺には見えないようですが。』
 フィリーモンとボーシスとは、つい昨日の夕方まで、牧場や、家や、庭や、木立や、子供達
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