次に「もう一度考へ直して下さい」と云はうと思つたが、この場合それが如何にも意久地《いくぢ》がないやうにも思はれたので、口をつぐんでしまつた。
表に人のくるけはひがして、がたりと轅棒《かぢぼう》の下りた音がした。
「車が來ました。」かう云つた女の聲は重いものに壓《お》し潰《つぶ》されたやうな聲であつた。
[#地から1字上げ](大正元年十月「昴」)
底本:「現代日本文學全集84 明治小説集」筑摩書房
1957(昭和32)年7月25日発行
入力:小林徹
校正:かとうかおり
1998年7月25日公開
2003年5月20日修正
青空文庫作成ファイル:
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