夫はまた夫でそれをむしろ喜こんでゐる。(原文八字缺)お互ひを高めるためにのみ結合した筈であるのに、彼は今はただ世間普通の男の女にたいする愛情を彼女に感じてゐるに過ぎないのだ。そのうちに彼女たちのうちの弱いものは墮落して行く。經濟的に窮迫してさうなつて行くものもある。さうならないものでも多くは弱つてなかにゐる夫に(原文二字缺)精神的影響をあたへるやうな言葉を面會ごとに口にしたり、手紙に書いたりするやうになる。夫もだんだん弱つて行く。さうした結果は(原文十字缺)彼の態度にもひびかないわけにはいかない。――これでは(原文八字缺)。
自分の周圍にさういふ同志の姿を餘りにも多く見せつけられた古賀は、つひにはいはゆる(原文四字缺)の結婚それ自體に反對したい氣持にさへなつてゐたのである。それは度をすぎた機械的な反撥ではあつたであらうが。彼が美佐子に對して取つた態度もさういふ氣持から出てゐた。自由な行動をとるやうに、といふ言葉のなかには別れようといふ意味をも含めたつもりであつた。お互ひが間違ひをしでかさないためにはそれが唯一の方法であると彼は考へたのである。だからその後美佐子が、ある合法的な組織に屬
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