迄も居るがいいわさ! 夢中で歸つて來た彼らはしばらくは足がふるへて立てなかつた。ほんのちよつとの間でも外の空氣に觸れ、出られると思つた出鼻を挫かれると、失つた自由の壓力が二重の強さで迫つて來、物狂ほしいほどの心になるのだつた。やがて落着きを取戻して來るにつれ彼らの、憤怒はたつた一人の人間に、――彼らをこのみじめな状態につきおとした責任者に向つて燃えたのである。彼奴はどこにゐるだらう。何でまたおれたちは彼奴のためにこんな目にあはなけりやならないんだ!
 その杉村が今突然彼らの前に姿を現したのである。
 しをれ切つた姿で杉村はもとの場所へ歸つて來た。そこへうづくまりしばらくはぢつと動かずにゐた。いひ知れぬ寂寥がうちからうちからとせきあげて來た。それはかつて味はつたことのないものであつた。彼らのあの眼なざしほどに今の杉村をぶちのめすものはない。あらゆる種類の困難には勇氣をもつてあたることができる。その勇氣はだが單に杉村の肉體にのみ依存するものではない。杉村その人を支へてゐる一つの大いなる存在に由るのである。その支柱の崩れ行くさまを杉村は今眼のあたりに見たのである。彼はその原因について考へ、そ
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