る。長い間彼らは何のために自分たちがこゝへ連れて來られたかを知らなかつた。それを今日の晝になつてやうやく知つたのだ。はじめ二日か三日で出れるものと人もいひ自分も信じてゐたのに、それが十日二十日とつづきしかも何らの取調べもなく過ぎたとき、彼らの不安と焦躁とはしだいに大きなものになつて行つたのである。何よりもいけなかつたのは、彼らが生れおちるときから[#「ときから」は底本では「とから」]、手足を動かさずにゐた日が數へられるやうな人間であつたといふことだ。全身をもつて働きつゞけることのなかに樂しみをも苦しみをも見て來、坐つてものを考へるなどはおよそ肌に合はないことだつた。最初の二三日彼らは互ひに顏をつき合せてボソボソと何か話し合つた。だがふりかへつて見れば、單調な一本道を十年一日のごとくあるきつゞて來たにすぎない各自の生活を、彼らは知り盡してゐるのである。話題はすぐにも盡きてしまふ。はなれて見るとやたらに土がなつかしく、晴れた青空を見ては春|耕《おこ》しを思ひ、耕作がおくれるといふ考へに心を灼いた。――やがて何日間か過すうち、彼らの肉體と精神は何か調子の狂つたものになつて行つた。考へるべき對
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