んの実が、しかも美味しい実がなるのであります。しかし、今日のところでは、わずかにそれが、しかもただほんの一部分が、この地方の子供のすさび位にしか利用されておらないようで、それを果物として市場へ出荷すること等はもちろん、それを原料として罐詰の製作とかジャムの製造ないしは桑の実酒の醸造等、何一つ企てられておらないことは、まことにもったいないことのようにも思って見て来たのでございます。
 こういった、農村工業についてでありますが、今ここでも例に出しましたように、一つには、その地方の生産物をさらに加工して行くということも、確かに意義のある途でないとは申しませんが、それよりも、もっと真にその地方の工業として意義のある点に力を入れなければならない、と思われることがたくさんにございます。ところが、不幸にして不思議にもあまり多くの人々からも注意されておらないことは、要するに、単にその地方に工業を興すという考えよりも、より「その地方の気候風土を生かして行く」、すなわち、そこの風土に則した工業を興すという点に第一の主眼をおかれないため、と私は考えているのでございます。
 原料といったようなものは、交通の発
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