を利用して、「うど」の軟化栽培をやっている処、またつい数日前、長野市外の善光寺温泉に参りましたところ、あそこの裏山の崖の下のその崩壊の砂の中にしかも自然にできるのだといって、あざみの軟化したのを料理して出して貰いました。もっとも、これらは崩壊と言ってよいかどうかちょっと判らないような程度のものではありますが。
 そのやや大規模な崩壊利用といたしましては上伊那郡西春近村の白沢部落かと記憶しておりますが、あそこでは、その地方一帯は赤土の段丘地でありますが、その上に一個所だけ、あそこの裏山の崩壊で押出された広い石礫地区ができております。それをここでは、とくにその部分を春蚕専用の桑園地として利用しております。発芽も赤土の処よりは早く、まことに好都合だといっておられるのであります。一時は蚕種用の歩桑桑園とまでして利用したことさえあるとのことでございました。
 また、更級郡大岡村の下大岡という部落でありますが、ここは犀川の谷底近くにできているわずかに十数戸の部落でありながら、年々十車以上もの生柿を生産するという、素晴らしい柿栽培部落であります。しかも、よくある、かの隔年結果というようなことがここの
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