の成果を挙げることはできないとしても、その点に主眼をおいた。
 もちろん、われわれ地理教育者の大きな、しかも、直接の使命は「風土性に対する正しい認識と理解」の向上普及にあることは言うまでもないが、その風土性というものが、すでにそれが大自然の一部、一要素なのであるから、その風土性に対する徹底した認識や理解を得るためには、さらに遡って、一般人士の大自然に対する正しい認識と理解とが重要視されるわけでもあるし、また考えようによっては、地理的教育直接の目標である風土性の認識・理解も、やがては大自然そのものの認識・理解への一課程と見るべきものでもある。したがって、本講演では、直接地理学そのものを表面に振りかざしてはおらないが、もちろんその話がいかに粗末なものであったとしても、私の講演であるから、実は地理教育直接の目的を片時も忘れておったわけではなかった。が、とにかくこの際は、聴講者のすべてが、皆それぞれの指導的位置に立っておられる方々であったから、その指導原理、指導精神の中へ、また思い切った欲を許して頂くならば、中へではなく、その基調とまでして、自然礼讃、自然順応という思想を把握していただき、それ
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