生命」であります、そう考えるよりほかにわれわれの立場がないのでございます。いや実はそう考えてこそ初めてそこにわれわれの立場も立つのでございます。すなわち万物即神であるのであります。われわれ人間も、その人間固有の意欲を綺麗さっぱりと払い退け、素直にその大自然に融合し、完全にその大自然の一部と化しきった時は、もちろん、その神となることができるのであります。すなわち、それが「即身成仏」なのであります。しかし、人間の人間たる悲しさ、なかなかそれは容易のことではないのでございます。
しかしまた、考えようによっては、とうてい取去ることのできない意欲であり煩悩でありますものならば、そうして、その意欲をできるだけ全うしようと考えるならば、思い切ってその自分をその大自然の中へ打込んで、大自然の懐へ入って、あるいはその大自然を背景として、さらに宗教上の言葉で申しますならば、神人合一の境地に立つことのできますように、その意欲を整えることもまたその一法かと思われるのでございます。事実、こんにち文明の利器として現れて来ておりますその多くは、例えば前にも引合いに出しました飛行機にしても汽船にしても、海水や大気の
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