南極の怪事
押川春浪
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)瑠璃岸国《るりがんこく》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)その時|背後《うしろ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#ローマ数字1、1−13−21]
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一
この怪異なる物語をなすにつき、読者諸君にあらかじめ記憶してもらわねばならぬ二つの事がある。その一は近頃ヨーロッパのある学者仲間で、地球の果に何か秘密でも見出さんとするごとく、幾度の失敗にも懲りず、しきりに南極探検船を出しておる事。その二は、いわゆる歴史の黒幕に蔽われたる太古、ぼうとして知るべからざる時代に、今は蛮地と云わるるアフリカ州の西岸、東に限りなき大沙漠を見渡すチュス付近に、古代の文明を集めたる一王国があって、その名は瑠璃岸国《るりがんこく》と口碑に伝えられているが、この国の最も盛んなりし頃、一人の好奇《ものずき》なる国王あり、何か物に感じたことでもあったものと見え、あるとき国中の材木を集めて
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