月世界競争探検
押川春浪

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)表題《みだし》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)氏の愛子|月子《つきこ》嬢

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#疑問符一つ感嘆符二つ、41−上−15]
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    博士捜索隊の出発

 明治四十年十月十日の東京新聞は、いずれを見てもまず読者の目を惹いたのは、一号活字で「恋の競争飛行船の月界探検」と表題《みだし》をだし、本文にも二号沢山の次のごとき、空前の記事であった。
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「今より凡《およ》そ半年以前即ち今年五月一日を以て、東京大学教授篠山博士が月界探検のため自ら発明せる飛行船に乗じ助手一名とともに吾が地球を出発せる事は読者の未だ記憶せらるる処ならんが、その後博士よりは今日まで杳《よう》として一片の消息だになく、あるいは飛行船の不完全のため中途その目的を達せずして、研究のためその一命を捧げしには非ずやと伝うものさえありて、飛説紛々として生じ、氏の
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