お捜しなされて……」
「そりゃ勿論死ぬまでも捜す決心だ。」と奮然として答えて、
「少し寒けがして来たが何か焚火をするものはないか。」
「どれ私が拾い集めて参りましょう。」
と東助は出て行ったが、やがて一抱えの燃料《もえぐさ》を持って立ち帰って来たので、それを焚いて温りながら、一つ一つ差しくべつつ話しをしていたが、文彦は何心のう今自分の持っている木を見るとこの月世界に見なれぬ、しかも何やら彫刻したように出来ている。
よくよく見ると飛行船の部屋の装飾で擬《まがい》ものう篠山博士の飛行船月宮号の附属品だ。
「やッ※[#感嘆符三つ、43−下−7] 手懸りがあった。」
「え?」
「これを見い。」とそれを東助の眼の前に突き出して、
「これは叔父さんの飛行船に着けてあった飾りだ。これがあるくらいなら、どうしても叔父さんはここへ来られたものには違いないが、飛行船が壊れたため地球へ帰る事が出来ないでここにそのまま止まっていらっしゃるんだ。難有い。これこそ天の与えだ。」
「じゃいよいよ大旦那様はここにお出でなされましたに違いねえ。さあそれじゃ一刻も早くお在処《ありか》を探し出して……」
「それにしても方
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