》の翩飜《へんぽん》と飜《ひるが》へるを見《み》ば、更《さら》に其時《そのとき》は、軍艦《ぐんかん》「日《ひ》の出《で》」の萬歳《ばんざい》と、電光艇《でんくわうてい》の萬歳《ばんざい》とを三呼《さんこ》せられよ。電光艇《でんくわうてい》の觀外塔《くわんぐわいたふ》には、櫻木海軍大佐《さくらぎかいぐんたいさ》、武村兵曹《たけむらへいそう》、日出雄少年《ひでをせうねん》、他《ほか》三十|餘名《よめい》の慓悍無双《へうかんぶさう》なる水兵《すいへい》あり。軍艦《ぐんかん》「日《ひ》の出《で》」の甲板《かんぱん》には、艦長松島海軍大佐《かんちやうまつしまかいぐんたいさ》、虎髯大尉《こぜんたいゐ》轟鐵夫君《とゞろきてつをくん》、濱島武文《はまじまたけぶみ》、春枝夫人《はるえふじん》、及《およ》び二百餘人《にひやくよにん》の乘組《のりくみ》あり。いづれも手《て》に/\双眼鏡《さうがんきやう》を携《たづさ》へ、白巾《ハンカチーフ》を振《ふ》り、喜色《えみ》を湛《たゝ》えて、諸君《しよくん》の好意《かうゐ》を謝《しや》する事《こと》であらう。其《そ》の時《とき》は、私《わたくし》は、屹度《きつと》、軍艦《ぐんかん》「日《ひ》の出《で》」の艦尾《かんび》の方《かた》、八|吋《インチ》速射砲《そくしやほう》の横《よこ》たはる邊《へん》、若《もし》くば水面《すいめん》高《たか》き舷門《げんもん》のほとりに立《た》つて――恭《うや/\》しく――右手《めて》に高《たか》く兜形《ヘルメツトがた》の帽子《ぼうし》を揚《あ》げて、今《いま》一度《いちど》、諸君《しよくん》と共《とも》に大日本帝國萬歳《だいにつぽんていこくばんざい》! 帝國海軍萬歳《ていこくかいぐんばんざい》! を三呼《さんこ》しませう。(軍艦「日の出」の甲板にて)
[#ここから割り注]海島冐劍奇譚[#ここで割り注終わり]海底軍艦終
底本:「海島冐檢奇譚 海底軍艦」名著復刻日本児童文学館、ほるぷ出版
1975(昭和50)年10月発行
底本の親本:「海島冐劍奇譚 海底軍艦」文武堂
1900(明治33)年11月15日
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
※「変体仮名し」は、「志」をくずした形です。
※文中の「〜〜〜〜」は底本では繋がった波線です。
※「艦の16かく目の「一」が「丶」」は「デザイン差」と見て「艦」で入力しました。
※「覽の10かく目の「一」が「丶」」は「デザイン差」と見て「覽」で入力しまいた。
※「「褒」の「保」に代えて「丑」」は「デザイン差」と見て「衰」で入力します。
※ルビ抜けは底本通りにしました。
※底本には数多くの印刷不鮮明な箇所や誤植が疑われる箇所、仮名遣いの混在がありますが、底本通りとしました。
※なお「ゝ」「ヽ」「ゞ」「ヾ」は印刷不鮮明のため底本どおりではなく、「ゝゞ」はひらがな繰り返し記号、「ヽヾ」はカタカナ繰り返し記号として入力しました。
入力:H.KoBaYaShi
校正:川山隆
2008年6月2日作成
2009年8月31日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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