》する所《ところ》があつたに相違《さうゐ》ない。爾《そ》してかれは一|度《ど》企《くわだ》てた事《こと》は其《その》目的《もくてき》を達《たつ》するまでは止《や》まぬ人《ひと》であるから、大佐《たいさ》が再《ふたゝ》び此世《このよ》に現《あら》はれて來《く》る時《とき》には必《かなら》ず絶大《ぜつだい》の功績《こうせき》を齎《もた》らして來《く》る事《こと》は疑《うたがひ》もない、されば櫻木大佐《さくらぎたいさ》が再《ふたゝ》び日本《につぽん》へ皈《かへ》つたものとすれば、其《その》勳功《くんこう》は日月《じつげつ》よりも明《あきら》かに輝《かゞや》きて、如何《いか》に私《わたくし》が旅《たび》から旅《たび》へと經廻《へめぐ》つて居《を》るにしても其《その》風聞《ふうぶん》の耳《みゝ》に達《たつ》せぬ事《こと》はあるまい、然《しか》るに今日《こんにち》まで幾度《いくたび》か各國市府《かくこくしふ》の日本公使館《につぽんこうしくわん》や領事館《りやうじくわん》を訪《おと》づれたが、一|度《ど》もそれと覺《おぼ》しき消息《せうそく》を耳《みゝ》にせぬのは、大佐《たいさ》は其《その》行衞《ゆ
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