《さだ》める船《ふね》は、常《つね》に第《だい》一|等《とう》の貴重《きちやう》貨物《くわぶつ》を搭載《とうさい》して居《を》る船《ふね》に限《かぎ》る代《かわ》りに、滅多《めつた》に其《その》形《かたち》を現《あら》はさぬ爲《ため》と、今《いま》一つには此《この》海賊《かいぞく》輩《はい》は何時《いつ》の頃《ころ》よりか、利《り》をもつて歐洲《をうしう》の某《ぼう》強國《きやうこく》と結托《けつたく》して、年々《ねん/\》五千|萬弗《まんどる》に近《ちか》い賄賂《わいろ》を納《をさ》めて居《を》る爲《ため》に、却《かへ》つて隱然《いんぜん》たる保護《ほご》を受《う》け、折《をり》ふし其《その》船《ふね》が貿易港《ぼうえきかう》に停泊《ていはく》する塲合《ばあひ》には立派《りつぱ》な國籍《こくせき》を有《いう》する船《ふね》として、其《その》甲板《かんぱん》には該《その》強國《きやうこく》の商船旗《しようせんき》を飜《ひるがへ》して、傍若無人《ぼうじやくむじん》に振舞《ふるま》つて居《を》る由《よし》、實《じつ》に怪《け》しからぬ話《はなし》である。
私《わたくし》は今《いま》、二本《
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