と》で、私《わたくし》が米國《ベイこく》から歐羅巴《エウロツパ》へ渡《わた》る航海中《かうかいちう》で、ふと一人《ひとり》の英國《イギリス》の老水夫《らうすゐふ》と懇意《こんい》になつた。其《その》[#ルビの「その」は底本では「たの」]老水夫《らうすゐふ》がいろ/\の興味《けうみ》ある話《はなし》の中《なか》で、最《もつと》も深《ふか》く私《わたくし》の心《こゝろ》に刻《きざ》まれて居《を》るのは、世《よ》に一番《いちばん》に恐《おそ》ろしい航路《かうろ》は印度洋《インドやう》だとうふ物語《ものがたり》、亞弗利加洲《アフリカしう》の東方《ひがしのかた》、マダカッスル[#「マダカッスル」に二重傍線]島《たう》からも餘程《よほど》離《はな》れて、世《よ》の人《ひと》は夢《ゆめ》にも知《し》らない海賊島《かいぞくたう》といふのがある相《さう》だ、無論《むろん》世界地圖《せかいちづ》には見《み》る事《こと》の出來《でき》ぬ孤島《こたう》であるが、其處《そこ》には獰猛《どうまう》鬼神《きじん》を欺《あざむ》く數百《すうひやく》の海賊《かいぞく》が一團體《いちだんたい》をなして、迅速《じんそく》堅
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