ど》に※[#「口+斗」、32−5]《さけ》ぶ水夫《すゐふ》の聲《こゑ》、同時《どうじ》に物《もの》あり、甲板《かんぱん》に落《お》ちて微塵《みじん》に碎《くだ》けた物音《ものおと》のしたので、私《わたくし》は急《いそ》ぎ振返《ふりかへ》つて見《み》ると、其處《そこ》では今《いま》しも、二三の水夫《すゐふ》が滑車《くわつしや》をもつて前檣《ぜんしやう》高《たか》く掲《かゝ》げんとした一個《いつこ》の白色燈《はくしよくとう》――それは船《ふね》が航海中《かうかいちゆう》、安全《あんぜん》進航《しんかう》の表章《ひやうしよう》となるべき球形《きゆうけい》の檣燈《しやうとう》が、何《なに》かの機會《はづみ》で糸《いと》の縁《えん》を離《はな》れて、檣上《しやうじやう》二十|呎《フヒート》ばかりの所《ところ》から流星《りうせい》の如《ごと》く落下《らくか》して、あはやと言《い》ふ間《ま》に船長《せんちやう》が立《た》てる船橋《せんけう》に衝《あた》つて、燈《とう》は微塵《みじん》に碎《くだ》け、燈光《とうくわう》はパツと消《き》える、船長《せんちやう》驚《おどろ》いて身《み》を躱《かわ》す拍子《
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