ろ》も美《うる》はしく、世《よ》にも高貴《けだか》き婦人《ふじん》と思《おも》つた。
一通《ひとゝほ》りの挨拶《あいさつ》終《をは》つて後《のち》、夫人《ふじん》は愛兒《あいじ》を麾《さしまね》くと、招《まね》かれて臆《をく》する色《いろ》もなく私《わたくし》の膝許《ひざもと》近《ちか》く進《すゝ》み寄《よ》つた少年《せうねん》、年齡《とし》は八|歳《さい》、名《な》は日出雄《ひでを》と呼《よ》ぶ由《よし》、清楚《さつぱり》とした水兵《すいへい》風《ふう》の洋服《ようふく》姿《すがた》で、髮《かみ》の房々《ふさ/″\》とした、色《いろ》のくつきり[#「くつきり」に傍点]と白《しろ》い、口元《くちもと》は父君《ちゝぎみ》の凛々《りゝ》しきに似《に》、眼元《めもと》は母君《はゝぎみ》の清《すゞ》しきを其儘《そのまゝ》に、見《み》るから可憐《かれん》の少年《せうねん》。私《わたくし》は端《はし》なくも、昨夜《ゆふべ》ローマ[#「ローマ」に二重傍線]府《ふ》からの※[#「さんずい+氣」、第4水準2−79−6]車《きしや》の中《なか》で讀《よ》んだ『小公子《リツトルロー、トフオントルローイ》』と
前へ
次へ
全603ページ中27ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
押川 春浪 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング