じん》にして見《み》たい、夫《それ》につけても、日本人《にほんじん》の子《こ》は日本《にほん》の國土《こくど》で教育《けういく》しなければ從《したがつ》て愛國心《あいこくしん》も薄《うす》くなるとは私《わたくし》の深《ふか》く感《かん》ずる所《ところ》で、幸《さいは》ひ妻《つま》の兄《あに》は本國《ほんこく》で相當《さうたう》の軍人《ぐんじん》であれば、其人《そのひと》の手許《てもと》に送《おく》つて、教育《けういく》萬端《ばんたん》の世話《せわ》を頼《たの》まうと、餘程《よほど》以前《いぜん》から考《かんが》へて居《を》つたのですが、どうも然《しか》る可《べ》き機會《きくわい》を得《え》なかつた。然《しか》るに今月《こんげつ》の初旬《はじめ》、本國《ほんごく》から届《とゞ》いた郵便《ゆうびん》によると、妻《つま》の令兄《あに》なる松島海軍大佐《まつしまかいぐんたいさ》は、兼《かね》て帝國軍艦高雄《ていこくぐんかんたかを》の艦長《かんちやう》であつたが、近頃《ちかごろ》病氣《びやうき》の爲《た》めに待命中《たいめいちゆう》の由《よし》、勿論《もちろん》危篤《きとく》といふ程《ほど》の病
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